〇商品説明明治維新の荒波は、長州藩御用窯であった坂家にも押し寄せていました。祖父である八世より窯を継ぎ、九世坂高麗左衛門を襲名したとき、すでに明治10年。廃藩置県により藩からの援助を失い、自らの力で窯を運営していかねばならなくなりました。しかし、その逆境が、かえって九世坂高麗左衛門の技術を磨かせたのです。鬼手茶碗とは、陶土に砂礫の混じった「鬼萩」のことで、手に抱え込んだときにざらざらとした小石の感触があるのがわかります。また高温の窯のなかで石がはじけ飛んだことにより、石爆ぜ痕が偶然の景色となっているのも重要な見どころです。外側は鋭いヘラ掛けで胴部を締め、そこからゆったりと降りながら腰に膨らみをもたせたかと思うと、さらに腰部から高台にかけてもヘラでそぎ落とされています。そのため全体の横顔はある種の緊張感を帯び、最後に割り高台が全体の印象をやわらげるように、花開いています。状態は使用によるシミ(萩の七化けといいます)があるものの、無傷完品です。高台の一部に窯の中でついたひっつきがあり、そのため板などの上に置くと少しだけかたつきますが、安定が悪いというほどでもないので、問題ないかと思います。また、外側に焼成時の石爆ぜ痕があり、穴のようになっていますが、内側にまでは通っていません。付属品として、共箱と黄布が現存しています。また当方で保存用に薄葉紙と箱かぶせ紙を用意させていただきました。「九世 坂高麗左衛門」名を道輔、号を韓岳という。青年期は明治維新の動乱を経験し、幼年期には吉田松陰の教えを受けたという。技術と学識を備え、苦労したためか温厚篤実な人物であったとされる。作品には刻銘の無いものがほとんどで、本作品のように陶印や釘彫りで銘をいれたものは希少である。1877年(明治10年) 九世坂高麗左衛門を襲名。1915年(大正4年) 大正天皇御大典記念京都博覧会の出品作品が宮内省に買い上げられる。〇商品状態状態:時代と使用によるシミがあるものの、無傷完品。刻銘:高台脇に「韓岳」の印。また、共箱に作者自筆と印あり。縦幅:約11.7cm横幅:約12cm高さ:約8cm 付属品:共箱・薄葉紙・黄布
商品の情報
カテゴリー | おもちゃ・ホビー・グッズ > 美術品 > 陶芸 |
商品の状態 | 傷や汚れあり |